富山県の国道156号線を庄川沿いに1時間も登ると、もうそこは深い山の中です。
祖山ダムによってできた人造湖の景色を見ながらドライブをしていると、
突然右前方の山頂付近に、いかにも巨大な”それ”が姿を現します。
しかし、”それ”は姿は見えてもなかなかたどりつくこができないのです。
さらにそこから登ること10分位のところでようやく対岸に渡る橋が見えてきます。
つづら折れの道をいくども曲がり、見落としてしまいそうな狭い林道に入っていきます。
クルマ一台がやっと通れる程度の道の最終地点に”それ”はあります。
”それ”とは、巨石探訪には欠かす事ができない、越中五箇山の天柱石のことです。
越中五箇山天柱石は将に秘境の中に人知れず存在する巨大物体です。
言い伝えによれば、大昔、天の岩船が山頂付近に突き刺さった…のだそうです。
確かに言われてみれば、巨大な船が将に海中に没しようとしている様に似ています。
表出している部分だけでも57m。地中部分を考えると100m以上の巨大な
一塊の磐が越中の山の頂上に”ある”ことになります。
巨石を愛する人々には是非とも直接行って、その存在感を味わって頂きたいと思います。
私は、天柱石を見てから特に「モノの存在」について深く考えるようになりました。
この天柱石のてっぺんには不思議な事に小さな祠があります。
天柱石の頂上には、しばしば修験道の祖である役小角(えんのおづぬ)が
”飛来”したそうです。この祠も役小角が造ったものかもしれません。
役小角は日本各地にその足跡を残しています。色々なところで出会います。
自動車や飛行機を使って歩き回っても、まだ彼の足跡には及びません。
私は彼は「飛来」を楽しんでいた…と思います。
親しみと畏敬の念を込めてスケッチを描きましたので、
皆さんも是非「役小角」(えんのおづぬ、おづの・えんの行者等)の名前をお忘れなく。