長野県松代は真田家が本拠地とした信州の小京都です。
北、東、南の三方をぐるりと山で囲まれた松代盆地。
そこは喩えれば山間部の中規模の湖のようなのどかな景色です。
その中にぽっかりと皆神山は浮かんでいます。
長野側から善光寺平を抜け、長野電鉄線の松代駅を見渡す最終地点が皆神山です。
この情景が最も皆神山をピラミッド的に映し出すものかも知れません。
松代盆地といえば最も有名になったのが松代群発地震でしょう。
実は松代群発地震の震源は皆神山の直下であり、皆神山に地震観測装置が
据えられてから、群発地震が起こるようなったそうです。
さて、ピラミッドと巨石を探訪する者の視点から言うと、皆神山は
2つの点で大変に興味があります。その一つは、皆神山は未完成のピラミッドであり、
仮にそれが完成されていたならば世界最大のピラミッドになるというものです。
二つ目は、その築山方式が振動抑圧法という太古の特殊な超技術で、ごろた石を
空中に浮かせながら一気に造り上げられたとされる、得意な形態なゆえです。
皆神山の築山方式に関しては山田久延彦氏が仮説論理学という新しい視点で
明快な考察をしていますが、この山を訪ねてみると、なるほどと思われるところが
多いのが分かります。
私が日本のピラミッドや巨石に直接触れる旅を続けるのも
太古の超技術観をエンジニアの眼で確かめたいという気持ちが強いからです。
皆神のことを現地では古く群神と言っていたそうです。皆神山自身にも
周囲の地域にも多くの神が祭られている松代盆地全体が神聖な地として
崇められてきたように思えました。
皆神を訪ねたときも快晴に恵まれ、穏やかな探訪を楽しむことができました。
この特集はピラミッドに関する”少し理屈っぽい”解説を
のどかな曲で和らげながら楽しんで頂きたいと思います。
1996 泰山記
2010 高精細写真に置換え+補足