1996年に探訪した古代遺跡の中で、最も感銘深かったもののひとつが熊山遺跡です。
この不思議な遺跡がどこにあるのか、熊山とは一体何なのかを知る人は
日本人と言えども、ほんの一握りの数でしょう。
岡山県熊山町にある神山熊山は、丁度山陽本線と山陽自動車道が交叉するところに
あります。
実は日本にも(日本の方が原形かも知れませんが)メキシコにあるような
階段状ピラミッドの形態をした遺跡があるのです。それが熊山遺跡です。
4段に積み上げられた幾何学的構図はまさにピラミッドそのもので、
これは国指定の熊山石積遺構となっています。
私は以前からこの存在を知っていましたが、幸いにも昨年偶然にも
熊山遺跡を訪ねる機会を得ました。探訪して最も心を打たれたことは
この熊山遺跡を中心とした熊山の山域全てが今もなお、生き生きとして
霊山の威厳を保っていたことです。
姫路から電車に乗り、車窓の風景を楽しんでいると和気(わけ)のあたりから
山並みが突然変化し、いつもながらの「山に呼ばれる感じ」に
熊山探訪の重みがひしひしと伝わって来ました。
熊山駅を下り、偶然知り合った不思議な人物に案内されながら
熊山の目には見えない神域の門を潜ると、強烈な霊気が全身を包み込み、
思わず案内人に「凄い所ですね」と言わざるを得ませんでした。
熊山が単なる石積みの遺跡の名所ではなく、古い時代にこの地域全体の
精神的支柱であった…ことを直感的に認識しました。
そして驚くべきことに、今日までその威厳が圧倒的な迫力で
くるものに覆い被さります。熊山全域は日本人として守り続けたいところです。
不思議と出会いと、光の威厳が満ちていた熊山をご案内しましょう。
1996 泰山記
2010 高精細画像に置換え+補足